白神山地エコロジー体験ツアー
2006年春の白神山地エコロジー体験ツアー


● はじめに ― 参加者のみなさまへ ―  ●
残雪が多い為、天狗岳コースは6月16日頃まで通行止めでした。そこで、今回の春のエコロジー体験ツアーは、白神ラインの一部分を使ったエコロジー体験ツアーとなりましたことを、お詫び申し上げます。

6月10日(土)【ツアー1日目】

8:00 八甲田丸前出発
名古屋をはじめ東京首都圏からの参加者が8名。天狗岳登山以外でどう楽しむか―。今回は白神周辺の歴史と湿原の花を観察しようということになり、みなさん「おまかせコース」ということで参加してくれました。

9:00 太宰治「斜陽館」を見学
五所川原市金木町にある太宰治の生家「斜陽館」を訪ねました。奥津軽にある津島家が築いた西洋館の建物は、周りが田んぼとリンゴ畑の中に突然西洋風の建物があらわれました。参加者は、地元のガイドに建物の説明を受けると共に、津軽の歴史の1ページを知る機会を得ました。 

10:00 ベンセ湿原(ニッコウキスゲ)を観賞
スイカ・メロンを作付しているつがる市にある、地上より少し低い位置にあるベンセ湿原は、ニッコウキスゲやノハナショウブがきれいに咲き誇っていました。オオセッカもきれいな鳴き声で私たちを迎えてくれました。 

    

    

12:00 海の駅で昼食 〜日本海の海の幸を楽しむ〜
今回の参加者は女性が多く、是非日本海の海の幸がみたいということなので、鯵ヶ沢町が誇る「海の駅」で昼食をとりながら、日本海の魚を見学しました。しかし、見学ではなくやっぱり買い物ですよね。「ご飯の前に下調べだ」と言っていましたが、やっぱり買い物でした。珍しい魚についつい財布の口が開いてしまうのでしょう。 

    

13:00 ブナの苗床を視察 〜昨年種から開いた実生を見る〜
昨年の秋に採取したブナの実生と、4年生のブナの苗床の様子を見学に出かけました。すくすく育っているブナと、これから見るブナとの出会いに思いを馳せました。

    

13:30 白神自然学校一ツ森校で、白神山地の歴史を学ぶ
白神自然学校一ツ森校では、インターンシップできている学生や「NICE」の森林ボランティアのメンバーとも挨拶を交わし、白神山地の世界遺産の歴史を青秋林道問題を通して学ぶ授業を受けました。 

    

14:30 地元の温泉を楽しむ
 一日目は、皆さんの要望で、地元の小さな温泉に出かけました。赤い色をした温泉にみんな大喜びです。この温泉は、料理人がよくつくる、まかない飯みたいなもんで、山に入って汗を流した時に、入るととても疲れがとれると言われている温泉です。 

16:00 民宿にて宿泊
夕食は、おいしい日本海の魚と山の山菜料理に舌鼓をうち、今日一日歩いた所の感想を夜遅くまで話し、参加者同士の交流を深めていました。

6月11日(日)【ツアー2日目】

7:30 民宿を出発

8:00 白神自然学校一ツ森校で昼食を受け取る
赤石渓流を上る前に、自然学校の食堂部が誇る、地元赤石川の水でとれた「つがるロマン」の赤石米で作ったおにぎりと、ミズと塩昆布の漬け物をもらいました。

    
  湧き水は冷たくておいしい             ヤゴの孵化の瞬間 

赤石渓流の途中で、ブナの木の根もとから流れ落ちる所から沸いている湧き水を飲みました。参加者は、とてもおいしいと言っていました。
その時偶然ですが、ヤゴから孵化してオニヤンマに脱皮するばかりのトンボを発見しました。頭がまだヤゴの方に入って抜けませんが、しっぽと羽が開いています。初めての光景で、驚きました。

9:00  奥赤石遺伝資源保存林の散策
現在、白神ラインはここまでは車は入って行けません。奥赤石川の方面が6月16日まで通行止めですから、歩いて移動しました。

    
 葉っぱしらべ                                ブナ林を散策 

途中、ブナ林にある低木と高木の葉っぱを道の真ん中に集めて勉強会。「なかなか当たらないなぁ」と木の種類を確認しながら、遺伝資源保存林の中をゆっくり散策しました。この季節特有の新緑と、花の開花の甘いにおいに、参加者は感激していました。

11:30 津軽森見晴らし台に登る
津軽森登山道途中には、大きなブナの巨木が根っこをあらわにして倒れています。さわやかな春風も吹いてきます。この日は天気もよく、眺望のよい頂上からは向白神岳・白神岳・摩須ケ岳がきれいに見えました。

天狗岳は行けなかったけれど、天狗岳の場所を確認して、「次また来ていくぞ」と決意した参加者もいました。とても気持ちよく核心部分を見ることができました。そして、その頂上で核心部分を見ながら食べたおにぎりはとてもおいしかったです。

13:10 マザーツリーを見学
マザーツリー前のトイレのある駐車場に車を置き、400年の巨木を見ました。参加者は雪渓を見つけて「すごい、まだ雪がある」と驚いていました。周りの道々には、キクザキイチリンソウ・フキノトウなどが咲いていて、今年の雪がいかに深かったのかということを印象づけてくれました。 

15:00 白神館の温泉に入る
西目屋村の白神館の温泉に入り、山での疲れをとり、一路青森駅に向かいました。

 

今回の参加者は、予想もしないコースにとても大喜びでした。とにかく春遅い白神山地ですが、これからが白神山地のいい季節です。
是非、夏のツアーも楽しみにしてください。