その他の活動・出来事
三井物産環境基金セミナー 参加報告


5月24日(水)13時30分より、マンダリンオリエンタル東京にて、三井物産環境基金の第1回公開セミナーが開催されました。

はじめに、三井物産株式会社 代表取締役専務執行委員 横手康紀氏が主催者挨拶をしました。その後、次の2人の講師による講演がありました。

●株式会社三井物産戦略研究所 所長  寺島 実郎氏
 『経済発展と食糧・エネルギー・環境問題 〜経済の視点から〜』

2001年9月11日のアメリカ同時爆発テロから、世界のGDP実質成長率は、2006年予測で、3.5%という伸び率が続いていて、21世紀に入ってからの5年間で、世界のGDPが13%増、日本のGDPが6%増、中国が55%増と成長している現実を紹介。過去にアメリカが100年かけて2.1%増を成し遂げたのに対して、恐るべき異様な高成長が続いている。つまり、マイナス成長がない時代だというのである。
我々は途方もない過熱経済の中で暮らしているということになっている。その原因は様々な要因があるとしているが、これだけガソリンの価格が上がってもみんな驚かないが、1973年・79年のオイルショックの時はパニックになった価格であると指摘。このスピードにこの地球はついて行けるのか。今日本の省エネ技術・環境技術は世界一である。日本の果たす役割は多大な物がある、と語った。 

●米国アースポリシー研究所 所長  レスター・ブラウン氏
 『経済発展と食糧・エネルギー・環境問題 〜地球環境の視点から〜』

1974年地球環境問題を取り組むワールドウォッチ研究所を創設。84年には『地球白書』を創刊し、地球環境の悪化に警鐘を鳴らしている。今回、自著書の発刊記念も兼ねて来日。
2005年、世界経済は1900年規模を完全に上回った。今後日本は3%の経済発展をし続けると、資源がせっぱ詰まってくる。このまま成長し続けることへの疑問がある。砂漠化・水問題・珊瑚礁の破壊・動植物の絶滅・砂塵・嵐などがアメリカ・アフリカで増えてきている。その数も大きさも年々拡大してきている。
特にいま中国が大事だ。中国は世界の人口の1/3、40%の消費国でアメリカを抜いて世界最大となった。肉類・穀物もアメリカを抜いて第一位の消費国である。中国国民がアメリカ的消費社会で進むと世界の食糧は枯渇する。西洋式の化学燃料を使い・自動車使い捨てのやり方では限界になる。インド・中国人がアメリカドリームを夢見ている。これを変えなくてはならない。
古代文明シュミール・マヤ文明・イースター島の絶滅には何か前兆がなかったのか、指標としては原油の価格の高騰ではないか。原油は、枯渇に向かっている。原油価格が上がれば、食糧生産のコストが上がる。エタノール・バイオモデルに転換しなくてはならない。ブラジルはサトウキビを通して50%のエタノールをつくっている。自動車燃料の4割が新しくならなくてはならない。国家は食糧安全確保することが大切だ。ソマリア・アフガン・ハイチは破綻国家となり、部族長が勢力を拡大している。食糧確保できない国家が滅んでいく。
また、米国の自動車燃料は二酸化炭素を排出する車が大部分である。これからはハイブリット技術で半減するだろう。風力発電も進むだろう。風は無尽蔵でクリーンでもある。後は貧困を無くし、人口を安定化していくこと、植林をして、海面水位を下げて砂漠化を防ぐこと。生物多様性の保護などに投資すべきである。
投資金額は930万ドル、アメリカの国防費1610億ドルの1/3である。この投資額しないで生き延びられるか、投資しないと生き延びられないと思う。世界の軍事費の1/6の金額でもある。貧困や若い人に生き甲斐を与えないと、テロを防ぐことはできない。世代間の分断・資源の枯渇という問題をこれからの世代に我々の世代は、押しつけるのか。考えていかなくてはならない。
北極の氷は土がない。南極は陸地がある。北極の氷が20%減ったら温暖化が進む。グリーンランドの氷は2qの厚さがあるが、すべて溶けると海水面が7m上昇すると言われている。これからはグローバルな面での教育に期待している等々、地球環境を今の世代として何らかの手当をしなくてはならない、と話した。