最近、企業のCSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任、以後「CSR」とする)活動としての白神山地での植林の希望が増えてきた。
CSRという言葉が出始めたのは、1970年代の環境汚染、1980年代の児童労働への国際企業の問題を端緒に活発化したと思われる。当時は、社会的な責任を持とうとしている企業の株を買う運動まで発展し、同じくして企業の製品を巡る相次ぐ不祥事などからコンプライアンス(Compliance=法令遵守)やサステナビリティ(Sustainability=持続可能)な製品への配慮等が、宇宙船地球号の環境悪化や、安心・安全を求める消費者・ユーザーの高まりと共に求められる時代となっていた。
「企業の社会的責任」と言えば、第一は「利益を出して納税すること」、第二は「法を遵守すること」が一般的であるが、最近は、企業市民として積極的に社会貢献活動をすることにより、企業を取り巻くステークホルダー(利害関係者)との関係性を最適化し、企業イメージの向上を図ろうとする動きが活発化してきた様に思われる。
特に、企業の品質マネジメント規格と言えばISO9000、環境マネジメント規格と言えばISO14000があるが、2008年度からの企業の社会的責任に関する将来の国際規格として、ISO26000規格が登場しようとしている。
この様な環境負荷の低減や、社会貢献としての費用負担や人的支援、企業の情報公開などを通した透明性という問題は、費用対効果の上からはメリット・デメリットとして考えるべきではないかもしれないが、企業の大切な経営戦略の位置を占めてきたのである。
特に、対外的な社会貢献活動と言えば、自然・環境保護、子どもの人権保護、災害支援、文化の振興などがあるが、その領域はNPO・NGOが実施している活動の領域と重なることから、NPO等との連携(パートナーシップ)を取る企業が増えてきていると思われる。
特に日本の場合は、「相互の補完の連携」というのが主な連携の様な気がする。NPO活動側の活動の専門性や取り組みの状況から言えば、継続的なCSR活動を求めるものが多く、白神山地を守る会の活動も、世界遺産白神山地での「ブナの森の復元・再生」という、気の長い100年・200年・400年先の森づくりを目指したものとなっているため、単発的なCSR活動は馴染まないという課題も抱えている。
この「連携」ということで考えるならば、段階があるような気がする。最初は「NPO側に寄付をする」という段階。次は「相互補完の連携」の段階、その次は「一体となった協働」の段階・・・・・等々と進化していくのではないかという感を抱く。
企業側についても、植樹活動を通して法人会員になる企業、個人会員になる社員の人、役員への就任、企業の施設の場の提供、社員ボランティアの派遣、企業の製品の提供、マッチング方式の寄付金の提供など様々で、関わり方も千差万別であるが、今後進化していくものと思う。
当会としては、これからも企業のCSR活動の受け入れを進めていく。「白神山地の自然保護・保全の為の植樹・植林活動」及び「自然・環境保護」が当会のミッションであるが、その連携の形態はケースバイケースとし、企業の担当者と相談して決めていきたいと考えている。
また、企業のCSR活動については、当会のホームページ上でも公開していくと共に、相手企業のCSR活動の報告書や、ホームページ等でもきちんと公開をして、互いに透明性を持って実施したいと考えています。どうぞ、何なりとご相談頂ければと思います。
NPO法人白神山地を守る会
代表理事 永井 雄人
|