その他の活動・出来事
2006年度「第2回オホーツク実学市民公開講座」参加報告


9月23日(土)、東京農業大学オホーツクキャンパス大講堂において、シンポジウム「知床世界自然遺産登録と環境共生―地域活性化の課題を展望して―」(主催:東京農業大学オホーツク実学センター)が開催されました。このシンポジウムの中で、永井雄人代表理事が講演しました。

 (では、次第に沿ってシンポジウムの内容をご紹介いたします)


                              
開催の挨拶をする黒瀧秀久実学センター長

 9:30〜 受付開始  事務総括(田村 正文:実学センター専任研究員)
                   総合司会(菅原  優 :実学センター専任研究員)
10:00〜  開会の言葉 
10:00〜10:05 センター長挨拶 黒瀧秀久(東京農業大学 教授)
10:05〜10:10 伊藤雅夫(東京農業大学 教授 生物産業学部学部長) 
10:10〜10:20 来賓挨拶 網走支庁長

来賓の皆様              網走支庁長からのご挨拶

10:20〜 [午前の部(セッション“知床” 司会:石堂典秀)]
10:20〜11:00 「知床の歴史」
       中川 元 (知床博物館長
11:00〜11:40 「地域住民の視点からみた知床」
       湊屋 稔 (有限会社らうす海洋深層水 代表取締役
11:40〜12:20 「観光・エコツーの視点」
       西尾 朋高(株式会社知床ネイチャーオフィス 自然解説員
12:20〜12:30 質疑応答

12:30〜13:15 昼休み

13:15〜13:45 基調講演
「世界遺産の保護のあり方について」松田 裕之(横浜国立大学教授)

13:45〜 [午後の部(世界自然遺産の課題)]
     (ワークショップ・シンポジウム 司会:菅原 優) 
〔講演〕 
13:45〜14:05 @屋久島における自然遺産登録と地域的構造
        枚田 邦宏(鹿児島大学助教授)
14:05〜14:25 A白神山地における自然遺産登録と地元の対応
               永井 雄人(特定非営利活動法人白神山地を守る会
14:25〜14:45 B知床の自然遺産登録と自治体の対応
        午来  昌(斜里町長)
14:45〜15:05 C知床の自然遺産登録と生態系保全の課題
               白木彩子(東京農業大学講師)

15:05〜15:15   休憩(10分間)

15:15〜15:30 〔コメント〕
中川 元(知床博物館長
高木 規好(ウトロ漁業協同組合理事・マリンエンタープライス代表)
松田 光輝(知床ネイチャーオフィス代表取締役)

15:30〜16:20 パネル・ディスカッション
コーディネーター:黒瀧 秀久(センター長
パネリスト:午後の講演者4名

16:20〜16:30 〔学生の感想〕
東京農業大学博士課程 笠井文考
東京農業大学産業経営学科3年 扇子智世

16:40〜 閉会の言葉    交流会


網走の朝は、ここで食事をとりました。とても新鮮。多くの人で朝から賑わっていました。

【 所見:永井雄人代表理事 】
日本が世界に誇る3地域とも、「人々がこんなに入っていいのかなぁ」と思う程、『観光』という形態で入り込んでいる実態が明らかになりました。知床では、オオジロワシなどの生態系の頂点にあるワシの「餌づけ」が問題提起されました。屋久島では「車両規制」や、今後の自然遺産の管理計画・ルール計画の新たな展開が必要という意見も提案されました。また、自然保護の観点から「広域的な連携」ということで、知床も白神も北東アジアとの連携の必要性が語られました。知床も、北方四島はじめ樺太等からの温暖化で、流氷の時期の問題をはじめとした生態系の異常がみられています。白神山地においても、松くい虫をはじめとした酸性化が問題となっていることを話しました。また、自然遺産内での渓流釣り人が増え続け、マナーとあわせて問題となっていることを報告しました。


落差80mの滝「オシンコシンの滝」       勇壮な姿を讃える斜里岳(1545m)

特に、中国大陸からの黄砂の問題や、工業化による環境破壊が日本海沿岸を中心に広がっているという指摘もあります。車の総量規制・シカの異常繁殖をどう抑えるか。海洋の自然保護をどうしていくか、屋久杉の破壊の報告など、数々の報告が自然遺産地域で起きてきており、近い将来どのように保全しているのかということが世界から指摘される時期にきているという
指摘も学者からあり、今後の保全と利用のさらなるルールづくりの為の議論が必要となってきたと感じてきました。


網走湖の前では、馬が草を食んでいました  女満別空港から見た網走の大地

また、屋久島・知床の自然保護は、生態系の保護のためにシカの駆除や屋久杉の周りの保護、車の規制等があげられていることに対して、白神の自然保護は、入山規制があったため、それほど破壊されていないという印象を受けました。また、白神山地を守る会・白神自然学校が展開している、ツーリストに対する植林事業は大きな評価を受けると共に、シンポジュームに参加した学生からも、是非現地で植林作業を実施してみたいという要請を受けました。

●オホーツク実学市民公開講座実行委員会
後援団体:網走市開発建設部、網走支庁、網走市、斜里町、網走支庁管内町村会、 北網広域圏組合、(財)オホーツク地域振興機構、網走市教育委員会、 網走市商工会議所、(社)網走青年会議所、網走漁業協同組合、西網走漁業協同組合、
(斜里町商工会、知床財団、知床博物館、斜里第一漁協、ウトロ漁協)