今年はブナの実が不作で、種を採取することができませんでした。
昨年採取したブナの種は5000粒ほどでしたが、苗木として残ったのは30本程度。「今年こそ」と期待をしていましたが、ブナの実は皆無に等しい状況でした。何日間も山に入っては、双眼鏡を使ってブナの実がついているかどうか木を一本一本観察したり、ブナの木の下で種を探してみましたが、なかなか見つかりませんでした。
双眼鏡を使ってブナの種の状況を調べる代表
春に降りた霜が原因だという方もいます。今年は台風もなく夏の長雨以外はとてもいい条件だと思っていました。春先は雨が少なく、異常気象なのかとも感じていましたが、まさしくそんな結果でした。そして、夏場の長雨は、里での水稲にも大きな影響を与え、米の収穫量を減らしました。そんな里での出来事を気にしながら、10月末から11月にかけて白神山地の山の中を探しましたが、種の落下はなかなか見つかりません。来年に期待するしかありません。
落ち葉の中にもブナの種は見つからない 場所を変えて探してみても見つからない
私たちの白神山地における「ブナの森の保全・再生活動」は、自然界の変化をこのような形で毎年受け止めながら続けています。今、地球温暖化が世界的な問題とされていますが、白神山地の自然遺産は、地球環境の異常を伝えるセンサーとしての役目を担っているようにも思えます。気候の変動によって、白神山地の植生に変化が起きることを一番気にしています。
わずかに拾うことができたブナの種。
よく見ると、虫の穴があいていたり、
実が入っていない状態である。
今年は、種の収穫の周期の年だったので、種が採取できなかったことはとても残念です。しかし、過去に採取したブナの種から育った苗床の苗木は順調に育っているので、来年に期待したいと思っています。
年末も近くなりましたが、今年全国から「白神山地のブナの森復元・再生活動」にご参加頂いた皆様に、深く感謝申し上げます。
紅葉したブナ、秋は錦秋色に染まります
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