11月20日(土)、東北大学経済学部の学生、岩下広光君が、自然体験活動のフィールド調査の為に白神自然学校一ツ森校を訪れました。
彼は、「学生とNPO等を結びあわせるインターンシップ推進モデル事業」に参加し、白神自然学校一ツ森校と契約をして参加しています。この事業は、仙台市が学生の社会体験による教育及び市民公益活動の促進を図り、魅力ある仙台の人づくり・まちづくりに資することを目的として実施するもので、学都仙台コンソーシアム加盟大学等(宮城県内の大学・短期大学・高等専門学校及び東北芸術工科大学)に所属する学生を対象として実施しています。
今回、白神自然学校一ツ森校の仙台事務所が、受入団体として仙台市に登録し、受入れをすることになりました。10月は、仙台市内で白神山地についてのカリキュラムとしての勉強会を2回実施し、白神山地の基礎知識を学ぶと共に、自然体験がいま何故必要かを学んできました。3回目のカリキュラムとして、白神自然学校の自然体験のフィールド調査を実施することになり、今回は岩下君が訪れました。白神自然学校を運営する地元スタッフの太田泰子さんによる、地元の山菜(キノコや野菜)の手料理や海の魚の味を楽しんだあと、山に入りました。
まず、広葉樹であり白神山地の代表格でもあるブナの人工苗床を視察しました。苗床で晩秋のブナの状態を観察したあと、植林地を訪問しました。
白神山地への道は、11月17日から冬期間の為に全面通行止めとなっています。そこで、今回の調査の為に、青森県と鰺ヶ沢町の二ヶ所から許可をいただいて、鍵を借りて入りました。
赤石渓流線の入り口には、冬期間の為に全面通行止めの看板があり、施錠がされている。また、ブナ林の山は、葉っぱが完全に落ちて枝が白っぽくなり、緑一面の世界とはまた違った表情をしている。普段葉っぱに覆われて見えない滝なども、この時期だときちんと見えたりするので、また違った山の魅力を魅せてくれる。
広葉樹独特の、茶褐色の葉っぱをつけて冬芽が尖った特徴をもつブナは、今の季節、生長の度合いと本数を確認するのには絶好の時期です。津軽沢林道の植林地を歩いていると、二頭のカモシカを見かけました。この場所は、普段はカモシカが訪れる場所ではないのですが、ブナの苗木を食べていました。人間の足音ですぐ逃げましたが、植林地のブナが食べられているのではと思い観察しましたが、今のところはそんなに被害はありませんでした。今後の経過を見守らなくてはと話しながら、現地をあとにしました。
植林地のブナは、茶褐色をしてわかりやすい。ブナの生長がはっきりとわかる。
下山途中、現在「津軽白神森林環境保全ふれあいセンター」が実施している、自然再生の為の間伐地を視察しました。現在は看板が新しく設置されていて、赤石渓流線沿いから、その場所を確認することができます。
また、赤石またぎの(故)大谷石之丞さんが建てた「マタギ小屋」の場所確認や、トレッキングコースを確認し、教育的効果についても意見交換をすることができました。
スギの針葉樹の箇所を広葉樹の森に戻していくという、自然再生活動の場所には看板があり、間伐作業をボランティアで実施し、その隙間に広葉樹の若木を植林していこうという計画で進められている。是非、子供たちにもこのような森づくりの活動等に参加させたいものだと話し合った。
また、白神自然学校で実施している、環境省の人材育成活動事業認定、自然体験活動推進協議会による「第一種トレーナー」の資格取得をすることと、企業の社会的貢献活動との整合性を通して、就職活動に活かしていけたらどうだろうかという話について盛り上がりました。また、新幹線開業にあわせて、仙台市と白神山地をどのように結び、仙台の子供たちに、世界遺産(自然遺産)の魅力をどのように伝えていくかという課題について、今後白神自然学校仙台事務所の中で検討していくことになりました。
自然学校玄関前の銀杏は、錦秋色で見頃。
「日本の滝100選」に選ばれた「くろくまの滝」。暫し呆然と眺めていると、いろいろな形が脳裏をよぎると言っていました。午前中、日光が斜めに入ってくると、滝壺近くでは虹ができてとても神秘的な光景が見え隠れしていました。この「くろくまの滝」へ行く赤石渓流線が通行止めの為、鰺ヶ沢町方面からこの滝を見られるのは、2011年の5月25日以降となります。
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