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白神山地を守る会
 

緑のダムで白神山地を守りたい

 


神山地は、青森県と秋田県にまたがる約13万ヘクタールの広大なブナの山地です。1000メートル級の山々が連なっているのが特徴です。このうち特に世界最大級のブナの原生林が残っている中心部の約1万7000ヘクタールが、1993年12月コロンビアで開催された第十七回世界遺産委員会でユネスコの世界遺産条約の自然遺産リストに登録されました。

神山地を守る会はこのブナの森の、森づくり運動を進めるために1993年に発足しました。

かし、白神は登録前までは、多くの地元住民の林道建設反対運動の闘いがあって残った山です。白神山地の林道建設計画に毅然と立ちはだかったのは赤石川流域住民です。一ヶ月足らずの中で1024通という異議意見書を集め青森県知事に提出し工事は止まりました。当然、一部のブナの木がそのために伐採されました。赤石川の流域の人たちは昭和20年の春、大水害で部落が全滅した経験をもっています。また、さらに奥山につくった林道建設の結果、山が荒廃し、川の水が減り、動植物までに影響がでたのを自分たちの目で見て知っていました。

業を中心とした生活をしている当日の人々は、生活をかけて立ち上がったのです。そして、守られた山が白神山地です。地球環境も自然保護も結局は人間の破壊との戦いの運動なのです。私たちはこの10年間の自然保護活動を検証しました。それは、白神山地の自然保護運動の原点を探ることがとても大切だと判断したからです。結論は白神山地の保護運動は「森づくりだ」ということです。かつて広大なブナ林は杉の人工林となったところが結構あります。そのためか、天然記念物の本州産クマゲラの生息数も北東北全体で推定50羽をきったと言われ危機的な状況にあります。

たちは「クマゲラの棲むブナの森の復元基金」立ち上げ、2000年から白神山地のブナの種を拾い、そして実生を苗木にし、その苗木を白神山地に植樹をし、白神山地の森づくりの復元事業をすることを決意し、青森県・鰺ヶ沢町役場、津軽森林管理署、地元漁協の皆さんとパートナーシップを組み2002年6月「白神山地ブナ植樹フェスタin赤石川」というブナの植樹祭を、世界遺産の核心部近くの津軽沢林道の奥山で実施しました。白神山地に訪れたいという多くの観光客のエネルギーをこの植樹祭に参加してもらい、赤石川流域の山・川・海という自然循環システムを体験してもらいながら、ただブナの植樹だけではなく、次の日は、白神山地の里山の人々との交流のグリーンツーリズムを体験してもらいました。その結果参加者からはとても気持ちがよかった。自分たちの植えたブナが将来の白神の森になるんだという爽快感を覚えたとの喜びの声が寄せられました。是非、多くの方々に、この植樹祭に白神山地に出かけてもらいたいと願ってやみません。今、白神山地は多くの観光客でにぎわって来ました。しかし、世界遺産の白神山地を人目みたいという人であふれかえっていますが、何故、白神山地が世界遺産になったのか。そのブナ林はどうなっているのか知る人は少ないです。

たちは、ブナの森の復元運動として、こうした白神山地を訪れたいという人たちを巻き込んだ新しい地域振興と自然保護のあり方を、パートナーシップを組みながらいま進めたばかりです。多くの方々に、ブナの森の中を歩くと、豊かなブナの木のにおいがすること、そしてそのにおいは私たちの皮膚や鼻や口などの呼吸器官を通して、私たちの心をリフレッシュしてくれることで「私たち人間も、自然と共に生かされているんだなぁ」という気持ちを感じてもらいたいと思っています。これはふしぎな現象です。なんだか、縄文時代からの私たちのルーツにふれたような気持ちになります。そして、その豊かさ感こそ現代人が忘れている人間性なのではないでしょうか。

のブナの復元運動を最低10年間は続け、一つの白神山地の奥山を自然帯にもどせたら私たちは、次の後継者にその後を譲りたいと思っています。

 

2002年
白神山地を守る会  代表理事 永井雄人