活動概念について  
 
  白神山地ブナの森博物誌の発刊  
 


2000年2月、当会のNPO発足(1999年11月26日)を記念して、白神山地ブナの森博物誌「エコロジーマニュアル」を発刊した。

白神山地の静寂で神秘的な原生的なブナ林に魅了されて、毎年実施してきたエコロジー体験ツアーも、2001年で数十回になり、多くの自然愛好家の方を白神山地に案内してきた。毎年訪れる白神山地は、1978年(昭和57年)、自然保護団体の白神山地保護運動によって守られた山である。

白神山地では、かつて核心地域を縦断する林道建設計画が立ち上がった。その林道は青秋林道と呼ばれ、青森県西目屋村秋田県八森町間29.6qものブナの森が伐採破壊の危機に瀕した。

この青秋林道の着工は、過疎に悩む隣接町村の、奥地開発道路を開発することによって経済交流を行い、地域の活性化と地域振興に寄与することと、白神山地の手が入っていないブナの伐採にその目的があった。

この自然保護運動の先頭に立って山を守った一人が、当会の顧問で登山家の根深誠氏である。

1990年の森林生態系保護地域設定から、青秋林道に反対する連絡協議会が解散するまでの13年間、この自然保護運動は、林野庁・環境庁・文化庁・青森県等の関係者を動かした。そしてついに保護地域として保護され、1993年、その保護登録地域の約1万6971ヘクタールは、世界遺産自然遺産として指定されたのである。

世界遺産になった白神山地には、全国各地から自然体験のために多くの人達が訪れるようになった。当会では、エコロジーの視点を持ちながら入山し、遺産価値や、生態系になるべく負荷を与えずに、白神山地の原生的なブナ林に触れてもらい、全国各地で起きている自然環境の利用と保護の対立を解消した、新しい生態系に考慮した利用のあり方を模索してきた。

そういう経過を経て1999年11月末、当会は、特定非営利活動法人(NPO)として認証され、新たな1ページを刻んだ。このNPOの定款の中に、「エコロジーツアーや白神山地の人材ガイドの養成等を行い、白神山地の自然保護及び有効活用に寄与することを目的としている。」とある。

私達は、白神山地の緩衝地帯(核心部分の周辺)で、生態系になるべく負荷を与えない形でエコロジー体験ツアーを実施してきた。その為にガイド養成講座を開講し、将来的には自然学校や白神山地の通信講座なども予定している。

また、当会では、白神山地のブナの種子(白神DNA)または稚樹を家で育てた後に、もう一度白神山地に持ち帰り、植樹して森づくりに参加をする試みを行う。この活動を通して、自然の大切さを学ぶ自然保護思想の啓蒙、普及にも寄与しようと考えている。そのことが具体的な緩衝地帯の外で破壊されたブナ林の自然の再生復元につながると思っている。


最近普及してきたエコツーリズムは、自然保護、観光、地域振興、旅行業など多様な分野で、それぞれがエコツーリズム観を持ち定義が定まらないのも現状である。

私たちは、白神山地の自然保護と資源の有効活用をどのようにバランスをとりながらエコツアーを実施していくかを試行錯誤した。その結果、どうしてもエコロジーガイドが必要であり、極力環境に負荷を与えない、白神山地を把握したプロのガイド養成が急務だと思っている。そのためには、人と森との関わりの歴史的背景を深く知り、自然と接することが今、もっとも求められていることだと思う。

今回、エコロジーマニュアルをまとめ、山里の山村の伝統文化とエコロジーガイドの精神をこの冊子にまとめられたことは非常に意義がある。このエコロジーマニュアルが世界遺産白神山地の自然保護、並びにエコツーリズムの普及の中で大いに活用されることができれば幸いである。